症状・疾患について

Symptoms / Diseases

肥満症・メタボリックシンドロームについて

肥満症は単に体重が多い状態だけでなく、その結果として様々な健康障害を合併している状態を指します。これには高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、脂肪肝といった生活習慣病のほか、体重増加による関節の変形、気道の狭窄、睡眠時無呼吸症候群などが含まれます。

肥満症・メタボリックシンドロームの症状について

肥満症自体が直接的な症状を引き起こすこともありますが多くは合併症として現れます。例えば、高血圧による頭痛やめまい、糖尿病による倦怠感や多飲多尿、睡眠時無呼吸症候群による日中の眠気やいびきなどがあります。肥満に伴う健康障害は多岐にわたり、放置すると重篤な疾患へと進行する可能性があります。

肥満症・メタボリックシンドロームの診断と検査について

肥満の診断にはBMI(Body Mass Index)という指標が用いられます。BMIは「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で計算され、日本人の場合、25.0以上を肥満と定義しています。18.5~25.0が正常範囲内とされ、22.0前後が最も適正な体重とされています。

適正体重の計算例

  • 身長170cm(1.7m)、体重75.0kgの場合
  • BMI = 75.0 ÷ 1.7 ÷ 1.7 = 26.0
  • 適正体重 = 1.7 × 1.7 × 22 = 63.6kg

当院ではまずこのBMIを確認することから始め、肥満に伴う健康障害の有無をチェックします。また、他の疾患をお持ちの場合はそれらも考慮に入れた上で、患者様に適した減量方法をご提案いたします。

肥満症・メタボリックシンドロームの治療法について

肥満症の治療は健康的な減量を目指すことが基本です。体重の増減は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって決まるため、食事の見直しと運動習慣の改善が重要になります。主な治療法として、運動療法、薬物療法、カウンセリングがあります。

運動療法

現在の運動量から少しずつ増やしていくことが大切です。「始めること」、「続けること」が最も重要です。例えば、1日2,000歩歩いている方は4,000歩を目指す、ウォーキングのペースを上げる、距離を延ばすなど、無理のない範囲で一歩踏み出すことを目指しましょう。

合併症がある場合(糖尿病、高血圧、関節障害など)は、自己判断で無理をせず、必ず主治医に相談しながら運動を行ってください。

薬物療法

日本では肥満治療に特化した薬剤は限られていますが、近年、糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬が肥満治療にも有効であることが明らかになってきました。当院ではこれらの薬剤を用いた治療も行っております。

カウンセリング

肥満は単なる食べ過ぎや運動不足だけでなく、ストレスや不安などの精神状態も大きく影響することが研究で明らかになっています。運動療法や薬物療法だけでは効果が半減してしまう場合もあるため、当院では、運動効率や治療効果の向上を目的として、日頃の精神面の安定をサポートする肥満専門カウンセリングサービスも提供しております。

肥満症・メタボリックシンドロームの予防について

肥満症の予防には日々の生活習慣の見直しが不可欠です。健康的な食生活と適度な運動を継続することが重要です。

  • 毎日の体重測定と記録: 毎朝体重を測定し記録することで、自身の体重パターンを把握し、変化に気づきやすくなります。
  • バランスの取れた食事: 食べ過ぎに注意し、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 継続的な運動: 無理のない範囲で、日常生活に運動を取り入れ、継続することが大切です。筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、リバウンドしにくい身体作りにも繋がります。

肥満に伴う健康障害がまだ出ていない場合でも、将来的な発症リスクを減らすためにも、できることから少しずつ健康的な減量に取り組むことが大切です。

よくある質問

BMIとは何ですか?

BMI(Body Mass Index)は、肥満度を測るための国際的な指標です。体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出します。日本人の場合、BMIが25.0以上を肥満と判定します。

肥満症の治療は、何から始めればいいですか?

まずはご自身のBMIを確認し、健康状態を把握することから始めましょう。当院では、肥満に伴う健康障害の有無や、お持ちの他の病気を踏まえ、患者様一人ひとりに適した減量方法をご提案いたします。無理なく継続できることから始めることが大切です。

肥満症は精神的な要因も関係しますか?

はい、肥満は食べ過ぎや運動不足だけでなく、ストレスや不安などの精神状態が大きく影響することが明らかになっています。精神的な不安定さが、減量の妨げになることもあります。当院では、運動療法や薬物療法と併せて、精神面の安定をサポートするカウンセリングもご提供しております。

運動が苦手なのですが、他にできることはありますか?

運動が苦手な方でも、まずは「少しでも体を動かす」ことから始めてみましょう。例えば、一駅分歩いてみる、階段を使うなど、日常生活の中でできる範囲で活動量を増やすことが大切です。また、当院では薬物療法やカウンセリングなど、様々な治療選択肢をご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

以前ダイエットに成功しましたがリバウンドしてしまいました。どうすれば良いですか?

極端な食事制限によるダイエットは、リバウンドしやすい傾向があります。筋肉量が減ると基礎代謝も低下し、痩せにくい体質になってしまうこともあります。当院では、リバウンドしにくい健康的な減量を目標に、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた無理のない計画をご提案いたします。