症状・疾患について

Symptoms / Diseases

禁煙外来について

タバコは、ニコチンによる強い精神的・身体的依存症を引き起こす嗜好品です。喫煙は主に呼吸器に深刻なダメージを与え、気管支や肺を傷つけることで咳、痰、息切れといった症状を徐々に悪化させます。特に肺気腫まで進行すると元に戻すことはできません。そのためできるだけ早く禁煙を開始することが重要です。

またタバコは肺だけでなく、動脈硬化などの血管系の疾患、骨や筋力への影響、胃腸系の疾患など全身に悪影響を及ぼします。若年層では自覚症状が少ない場合でも、年齢を重ねるにつれてこれらのダメージが顕在化し重篤な疾患へと繋がる可能性があります。

タバコが身体に悪いと認識していても禁煙できないのは、ニコチンによる強力な精神依存と身体依存が原因です。禁煙を試みるとイライラ、眠気、神経過敏、胃のむかつき、頭痛といった精神的・身体的症状、いわゆる「離脱症状」が現れます。これらの依存性は世界保健機関(WHO)でもアヘンや大麻の中毒と同等とされており、非常に強力です。

禁煙外来の受診について

禁煙外来を受診できる条件としてニコチン依存症の診断が必要です。当院では以下の問診票を用いてニコチン依存の重症度を確認し、合計5点以上の場合にニコチン依存症と診断されます。

  • 自分が吸うつもりより、ずっと多くタバコを吸ってしまう事がある
  • 禁煙やタバコの本数を減らしてみようと試みたけど、できなかった
  • 禁煙したりタバコの本数を減らそうとしたけど、吸いたくてたまらなくなる
  • 禁煙したり、本数を減らしたとき、以下の症状が出た
    • イライラ
    • 眠気
    • 神経質
    • 胃のむかつき
    • 落ち着きがない
    • 脈が遅い
    • 集中しにくい
    • 手の震え
    • 憂鬱
    • 食欲や体重の増加
  • 上記症状を解消するためにタバコを吸い始めた
  • 重い病気にかかったとき、タバコは害があるとわかっているけど吸ってしまった
  • タバコで自分の身体に健康問題が起こっていても吸ってしまう
  • タバコで精神的問題が起こっていても吸ってしまう
  • 自分はタバコに依存していると感じる
  • タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることがある

ニコチン依存症と診断され、以下の条件を満たす場合に保険診療での禁煙外来が可能です。

  • 直ちに禁煙を始めたいと考えている
  • 1日の平均喫煙本数 × これまでの喫煙年数 = 200以上(35歳以上の年齢制限は撤廃されました)
  • 禁煙治療を受けることに文書で同意がある

条件が微妙だと感じる場合はお電話でのご相談も受け付けております。

禁煙外来での診断と検査について

禁煙補助薬の説明後、以下の3つの検査を検討し喫煙による身体への影響を詳細に評価します。

  • 胸部レントゲン検査
    • タバコによる肺の過膨張や横隔膜の平定化など、肺へのダメージを確認します。
    • 肺がんや間質性肺炎など、命に関わる病気が見つかることもあります。
  • 一酸化炭素の呼気量
    • 呼気に含まれるタバコの有害物質の量を確認します。
    • 数値が高いほどニコチン依存度が強いと判断されます。
    • 禁煙による数値の変化を比較することで、禁煙の効果を実感できます。
  • 呼吸機能検査
    • 肺活量や1秒量を確認し、肺の機能を評価します。
    • 特に1秒量は、タバコによって傷つき狭くなった気管支の状態を把握する上で重要です。
    • 肺年齢も算出し、肺がどれくらいダメージを受けているかを分かりやすく示します。

禁煙外来での治療法について

現在、当院では以下の2種類の禁煙補助薬を扱っています(チャンピックスは現在出荷調整中)。

  • チャンピックス(飲み薬): 効果が強いですが、吐き気、胃のむかつき、頭痛、めまい、悪夢などの副作用も強く出る可能性があります。
  • ニコチネルパッチ(貼り薬): 効果はチャンピックスより弱いですが、副作用も比較的少ないです。重度の心不全や狭心症、心筋梗塞後の方、妊婦の方は使用できません。

多くの場合、効果の強いチャンピックスをお勧めしていますが、副作用が心配な方や以前チャンピックスが合わなかった方にはニコチネルパッチから開始することも可能です。治療途中で薬の変更も柔軟に対応します。

よくある質問

禁煙外来はどんな人が受けられますか?

ニコチン依存症と診断され、直ちに禁煙を開始したいと考えている方、1日の平均喫煙本数と喫煙年数をかけた数値が200以上の方、そして禁煙治療を受けることに文書で同意いただける方が対象となります。詳細は「禁煙外来が受けられる条件について」の項目をご参照ください。

禁煙外来の期間はどれくらいですか?

初診を含め、通常12週間(約3ヶ月間)で計5回の通院が必要です。この期間内に禁煙を完遂することを目指します。

禁煙補助薬にはどのような種類がありますか?

現在、飲み薬のチャンピックス(現在出荷調整中)と貼り薬のニコチネルパッチを取り扱っています。患者様の状態や希望に応じて、最適な薬剤をご提案いたします。

禁煙外来の費用はどのくらいかかりますか?

3割負担の方の場合、5回全ての通院で合計1万2千円から2万円程度が目安となります。初診時には検査代などが別途かかる場合があります。

禁煙外来で必ず禁煙できますか?

禁煙はご自身の強い意志も非常に重要ですが、当院ではオリジナルのプログラムを通じて、禁煙を目指す方を全力でサポートします。禁煙補助薬の使用と定期的な通院により、禁煙成功率を高めることができます。