症状・疾患について

Symptoms / Diseases

膀胱炎について

膀胱炎は尿道から細菌が侵入し膀胱に炎症が起こる病気です。特に女性に多く、日本人女性の2人に1人は経験すると言われています。主な原因菌は大腸菌でその他ブドウ球菌なども挙げられます。発症要因としてはトイレを我慢しがちなこと、ストレスや疲労による免疫力低下、生理前後や性行為後、下痢などが考えられます。

膀胱炎が悪化すると細菌が腎臓にまで及ぶ腎盂腎炎に移行する可能性があります。腎盂腎炎は発熱、全身倦怠感、吐き気、腰痛などの全身症状を伴い、特に発熱は膀胱炎では通常見られないため注意が必要です。高齢者や免疫力が低下している方は重症化しやすく、点滴治療や入院が必要になる場合もあります。

膀胱炎の症状について

膀胱炎の主な症状は以下の3つです。

  • 排尿痛: 排尿時に差し込むような痛み。
  • 頻尿: 排尿回数が増え、30分から1時間ごとにトイレに行きたくなる。
  • 尿の濁り: 細菌が尿に混じることで尿の色が濁り、悪臭を伴うこともある。

その他、排尿違和感、残尿感、血尿なども見られます。20代から40代の女性に多く仕事などでトイレを我慢しがちな人は繰り返しやすい傾向があります。

膀胱炎の診断と検査について

当院では膀胱炎でお悩みの方が気軽に受診できるよう努めています。泌尿器科への受診に抵抗がある方も安心してご来院ください。

診察の流れと検査は以下の通りです。

  1. 尿検査: 診察前に尿検査を行うことが可能です。尿検査用のトイレは待合室のトイレと同じですが、提出用窓口を設けており、衛生面やプライバシーに配慮しています。
  2. 尿検査試験紙: 尿検査試験紙で約5分で結果が出ます。潜血、白血球、糖、タンパク質、ウロビリノーゲンなどの項目を確認します。特に白血球の有無が膀胱炎の診断に重要です。白血球が尿中に認められることは細菌感染を示唆します。試験紙で大まかな重症度(1+から3+まで)を判断し、泌尿器科と同等の治療薬を処方できます。
  3. 尿培養検査: 内服治療と同時に尿培養検査を実施しています。この検査では、原因菌の種類を特定し、どの抗菌薬が効果的か(薬剤耐性があるかどうか)を確認します。これにより、治療の効果が思わしくない場合に、培養結果に基づいた適切な治療法を検討できます。
  4. 採血(腎盂腎炎が疑われる場合): 膀胱炎症状に加えて発熱、全身症状、免疫力低下、過去に腎盂腎炎の既往がある場合は腎盂腎炎の可能性が高いです。その際は、採血検査を実施し、により白血球やCRP(炎症反応)を約10分で院内測定し、重症度を評価します。

膀胱炎の治療法について

膀胱炎の治療はほとんどの場合、抗菌薬でおこないます。

  • 抗菌薬
    • ニューキノロン系剤(クラビットなど)
    • ST合剤(バクタなど)
      これらの薬剤は内科でも処方可能です。痛みを伴う場合は、痛み止めも合わせて処方します。
  • 薬剤耐性菌への対応: 膀胱炎を繰り返して抗菌薬を頻繁に服用している方は、薬剤耐性菌(抗菌薬が効きにくい細菌)が増えている可能性があります。以前と同じ薬が効かないこともあるため、自己判断で服用せず受診が必要です。当院では尿培養検査により原因菌と有効な薬剤を特定し、適切な治療を提供します。
  • 腎盂腎炎の治療: 腎盂腎炎が疑われる場合は、点滴による加療を行います。腎臓を洗浄すると同時に、抗菌薬を直接血管に投与します。重症度が高い場合は、連携している総合病院(東川口病院、埼玉協同病院、川口市立医療センターなど)へ速やかに紹介し、入院を含めた専門的な治療に繋げます。当院では軽症から重症の腎盂腎炎まで、幅広く初期対応を行っています。

膀胱炎の予防について

膀胱炎の予防には以下の点が重要です。

  • こまめな排尿: トイレを我慢せず、こまめに排尿することで、膀胱内の細菌を洗い流し、増殖を防ぐことができます。
  • 水分を十分に摂る: 十分な水分摂取は尿量を増やし、膀胱内の細菌を排出するのに役立ちます。
  • 清潔を保つ: 排便後は前から後ろに拭くなど、正しい方法で清潔を保ち、尿道への細菌の侵入を防ぎましょう。
  • ストレスや疲労を避ける: ストレスや疲労は免疫力を低下させ、膀胱炎にかかりやすくなるため、十分な休息をとりましょう。
  • 生理用品をこまめに交換する: 生理中は細菌が繁殖しやすい環境になるため、生理用品をこまめに交換し、清潔を保ちましょう。
  • 下痢に注意する: 下痢をしている際は、細菌が尿道に侵入しやすくなるため、特に注意が必要です。

よくある質問

膀胱炎はなぜ女性に多いのですか?

女性は男性に比べて尿道が短く、細菌が膀胱に到達しやすい構造になっているため、膀胱炎にかかりやすいと言われています。また、尿道と肛門の距離が近いため、大腸菌などの細菌が尿道に侵入しやすいことも一因です。

膀胱炎の症状が出たら、すぐに病院に行った方がいいですか?

はい、症状が出たら悪化する前に早めに受診することが大切です。特に排尿痛や頻尿が続く場合、自己判断で市販薬を服用するのではなく、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることをお勧めします。症状を放置すると、腎盂腎炎などより重篤な病気に進行する可能性があります。

膀胱炎は繰り返しやすいと聞きましたが、本当ですか?

はい、膀胱炎は繰り返しやすい病気です。特に、多忙でトイレを我慢しがちな方、ストレスや疲労がたまっている方、生理前後や性行為後に感染しやすい方などは、再発のリスクが高いと言われています。予防策を日常生活に取り入れ、気になる症状があれば早めに受診しましょう。

膀胱炎の治療で処方された薬は、症状が良くなったら飲むのをやめてもいいですか?

いいえ、医師から指示された期間は、症状が改善しても必ず薬を飲みきるようにしてください。途中で服用をやめてしまうと、原因菌が完全に死滅せず、薬剤耐性菌が生じて再発したり、治療が難しくなったりする可能性があります。

膀胱炎と腎盂腎炎の違いは何ですか?

膀胱炎は膀胱に炎症が限局している状態ですが、腎盂腎炎は膀胱の細菌が尿管を逆行して腎臓にまで炎症が及んだ状態です。腎盂腎炎になると、膀胱炎の症状に加えて、発熱、全身倦怠感、吐き気、腰の痛みなどの全身症状が現れます。発熱がある場合は、腎盂腎炎の可能性が高く、速やかな医療機関の受診が必要です。